桃色のうさぎ

大丈夫な日の私だけをみつめてよ

桃色溜息

引越しのために引き出しを整理していたら、好きな人に初めて会ったときにもらった名刺が出てきてどきりとした。
そのときは複数人から名刺をもらったはずだったのに、見つかったのはなぜかその一枚だけだった。
なにかを予感していたのだろうか、などと考えつつ、最近購入したお気に入りのカードケースにそっと仕舞いこんだ。


名は体を表す、とはよく言ったものだと思う。
好きな人はフルネームの字面も響きもとてもきれいだし、純粋すぎる彼によく似合っている。
わたしも自分の名前はとても気に入っている。母いわく何も意味なんてなくただ字面と響きだけでつけたそうだけれど、かわいい名前だねと昔からよく褒められる。
自分の容姿に自信がなかった頃は、名前負けですみませんね、だなんて性格もかわいくないことを思っていたけれど、自分で髪型を選んで、服を選んで、化粧を始めるようになってからは、胸を張れるようになった。
わたしは色の中で最も桃色が好きで、それが名前に使われていることがとても嬉しい。小さい頃は黄色や橙色が好きで、中学生の頃は黒が好きだったけれど、高校生の頃からずっと桃色が大好きだ。
人生で何度も名乗るうちに愛着が湧いた可能性もある、鶏が先か卵が先か。


わたしの中で、人のイメージは名前で決まることが多い。
色が使われている人なら、その人のことを思い出すたびに一緒に色も思い浮かべる。花や季節も、一瞬でその人のイメージとなる。
他人から見た自分は桃色を纏っていればいいなと思う。ラベンダーでもなく、マゼンタでもなく、赤と橙の中間のような桃色がいい。カラーコードは#f09199。
そんな色が似合うような、繊細で可憐で見るだけで人を癒せるような存在になりたい。