桃色のうさぎ

大丈夫な日の私だけをみつめてよ

家族とは

わたしは大企業に勤めている父と専業主婦の母のあいだに生まれ、不自由のない人生を送ってきた。小学生時代は途中から友達が一人もいなかったけど、一人でのびのびと絵を描きながら過ごしていたし、一番人間関係で苦労した中学生時代も母がいつも家にいて話を聞いてくれたから、保健室に度々通いながらもなんとか耐えることができた。
「家族なんて周りから見ればみんなどっかヘンだよ」なんて台詞は何の漫画だったか。その通り、わたしの周囲は少なからず家族関係が変わっている人が多い。わたしの家族もごく普通だと思っているけれど、たぶん傍から見ればどこかは変なんだと思う。

歴代彼氏は特殊な家族の人が多かった。高校生の頃に付き合った彼氏は、付き合って半年経った頃に突然親御さんに会ってほしいと言われ、連れて行かれたファミレスでぶ厚い宗教のカタログを見せられ、2時間くらいかけて勧誘された。その途中彼氏は一言も話すことなく、親御さんが帰った後に「入会しなくていいからね」と言われ安心していたのだけれど、数日後「やっぱり入会してくれないかな?」と言われた。ここで愛が冷めればよかったのだけれど、初めての恋愛でわけがわからなくなっていたわたしは悩んだ末にメンヘラ状態になり、結局振られた。
数年後に付き合った彼氏は、家庭環境がとにかく最悪だった。実家が自営業で彼氏もそこで働いていたのだけれど、ろくに給料を貰えていなかった。詳しく聞いていないのでよく分からないけれど、身内に金遣いが荒い人がいるらしく、彼氏のチケットや車を勝手に売られていたりした。彼氏本人は良い人だったのだけれど、いつまで経っても落ち着かない家庭環境が恐ろしくなり、別れた。
次に今付き合っている彼氏。今まで家庭環境についてあまり聞かされることがなく、トラブルなども無かったので安心していたのだけれど、妹がニートだった。どうやら親御さんも仕送りだけして完全に放置している状態みたいなので、将来どうなることやら……。

なるべく安定した家族の元へ嫁ぎたいと思っているものの、付き合ってすぐに「どんな家庭環境?」なんて聞けるわけもないし、家庭環境が良いからって性格が合わなきゃ意味がない。実際、長男よりもリスクの少ない次男や一人っ子と付き合っても、性格がぜんぜん合わなくて一週間も持たなかった。

生まれてくる環境や、育ってきた環境が違うだけで、どんな人生を歩むか違ってくるのは当たり前で。自分でどうにもできないことで苦しんでいる人が、世の中にはたくさんいる。かといって他人のことまで救えるわけがないし、わたしに出来ることといえば、いつか育てるであろう子どもに、健康的で最低限の暮らしをさせてあげる、くらいしかないのだろう。